アクアリウムをやっていても、どの項目がどんなことに役立つかを知らない人って結構いるのではないでしょうか?
結構マニアックな項目や、複雑なものがあるので敬遠している方もいるかと思いますが、基礎を知っているとトラブルに対応しやすくなります。
詳しく書くと理科の授業みたいになって文系の僕にはつらいので、今回は水草アクアリウムをやる方向けに、水質検査キットで調べられる項目を中心に、できるだけわかりやすく解説して行こうと思います!
この記事の目次
※まずは簡単に一覧を掲載しますので詳しい解説が読みたい方はこのページのさらに下へ進んでください。
計測できる項目には以下の10数種類あります。ただ、通常の試験キットではここまで多くの数値は測れませんし、その必要もありません。この中でも注意して見るのは数種類程度になります。
水質測定のキットには一つで複数計測できるものもあれば、それぞれ個別に計測するものもあります。
また、紙を水につけるタイプから、液体を水に垂らして計測するものがあります。
紙タイプだと測定値にばらつきがでるため、液体タイプのほうが正確に数値を求めることが可能です。
この数値により、水がアルカリ性、中性、酸性を判断します。水草や熱帯魚は適しているph値というものがあります。アクアリウム系の図鑑や、ショップ定員さんに聞けば適したph値はわかると思います。
一般的に、流通している小型熱帯魚や水草、シュリンプは弱酸性(ph6〜ph7程度)を好む種が多く、レイアウトで使用されるものもほとんどが弱酸性を好む種です。ただ、種類によってはアルカリ性を好むものもいますので事前に確認して下さい。
ph値による分類は以下のとおりです。
PH値 | 性質 | 備考 |
---|---|---|
~3.0 | 酸性 | 塩酸〜食酢レベル |
3.0〜6.0 | 弱酸性 | 炭酸水レベル |
6.0〜8.0 | 中性 | 熱帯魚や水草はph6.0〜ph7.0を好む種類が多い |
8.0〜11.0 | 弱アルカリ性 | 重曹レベル |
11.0〜14.0 | アルカリ性 | 水酸化ナトリウムレベル |
熱帯魚や水草、シュリンプはそれぞれ生きることができるph値の範囲というものがあります。
市販されている水草や小型熱帯魚は主に弱酸性の水質を好む種が多いため、弱酸性に水質を合わせることが基本です。ただ、これは種類によりますので熱帯魚や水草の適正ph値を確認して下さい。
アクアリウムで最も基本的な指標となりますので水槽をやるなら最低限ph値はすぐ測定できるようにしておいてください。
ph6〜ph7程度
(水道水:ph7程度)
水草アクアリウムではあまり使用することはありませんが、ph値の調整剤もあります。
液体や粉末、もしくは葉などを水に入れる等様々なタイプがあります。
ただし、一時的にph値を変化させるだけですので、水槽内でph値がおかしくなった場合はその原因を突き止めて対処をしてください。
【反応物質】炭酸水素イオン(HCO3-)に結びつく炭酸水素カルシウム(Ca2+)と炭酸水素マグネシウム(Mg2+)、炭酸水素ナトリウム
炭酸水素イオン(HCO3-)に結びつく炭酸水素カルシウム(Ca2+)と炭酸水素マグネシウム(Mg2+)の総量です。
※ただしアクアリウムでは上記以外のイオン(炭酸水素ナトリウム)も含めて測定されることがほとんどです。そのため、アクアリウムのKHは一般的な炭酸塩硬度を計測しているわけではなく、それとは別物の「アルカリ度」を計測していると解説されることが多いです。ここでは「炭酸塩硬度」を「アルカリ度」として解説していきます。
水質にデリケートなディスカス水槽や、アルカリ性にする必要がある海水水槽などでは重要視されますが、水草アクアリウムではあまり必要としない数値ですし、とてもわかりづらいので超簡単に説明しておきます。
まず、最初に言って置かなければいけないのはアクアリウムで測定できるKH値は一般的な「炭酸塩硬度」とは別物の「アルカリ度」です。
なのでここでは「炭酸塩硬度」あらため、「アルカリ度」として話を進めますが、
炭酸塩硬度(アルカリ度)とはphが下がらないような働きをどれくらいする水質か(緩衝力がどれくらい強いか)という指標です。もっと具体的に言うと、
・kh値が高い→phが下がりにくい水質
・kh値が低い→phが下がりやすい水質
となります。
水草水槽ではCO2を添加するのが一般的ですので、
CO2添加した時には酸性に、CO2が抜けた時には中性付近に戻るという変化が起きます。
KH値が低い場合、「CO2添加時には少しの添加でもすぐにphが下がり(酸性に傾く)、CO2が抜けた時にはすぐにphが戻る(中性に戻る)」という乱高下をしてしまいます。
熱帯魚やシュリンプ、水草はphの急激な変動はストレスやダメージになりますので、出来る限りphの変動がない(緩やか)であるほうが理想です。
水槽環境が変化が少ない環境かどうかを測る指標と言ってもいいかと思います。
また、phとkh、CO2濃度は以下の様な相関関係にあります。
※ただし、アクアリウムでは「アルカリ度」なので以下の表とズレが有ります。
KH(゜dh) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 CO2
(mg/l)1 7.5 7.8 8.0 8.1 8.2 8.2 8.3 8.4 8.4 8.5 8.5 8.5 8.6 8.6 8.6 2 7.2 7.5 7.7 7.8 7.9 8.0 8.0 8.1 8.1 8.1 8.2 8.2 8.3 8.3 8.3 3 7.0 7.3 7.5 7.6 7.7 7.8 7.8 7.9 7.9 8.0 8.0 8.1 8.1 8.2 8.2 4 6.9 7.2 7.4 7.5 7.6 7.7 7.7 7.7 7.8 7.9 7.9 8.0 8.0 8.0 8.0 5 6.8 7.1 7.3 7.4 7.5 7.6 7.6 7.6 7.7 7.8 7.8 7.8 7.9 7.9 7.9 10 6.5 6.8 7.0 7.1 7.2 7.3 7.5 7.4 7.4 7.5 7.5 7.5 7.6 7.6 7.6 15 6.4 6.6 6.8 6.9 7.0 7.1 7.1 7.2 7.2 7.3 7.3 7.3 7.4 7.4 7.5 20 6.2 6.5 6.7 6.8 6.9 7.0 7.0 7.1 7.1 7.2 7.2 7.2 7.3 7.3 7.3 50 5.8 6.1 6.3 6.4 6.5 6.6 6.6 6.7 6.7 6.8 6.8 6.8 6.9 6.9 6.9 100 5.5 5.8 6.0 6.1 6.2 6.3 6.3 6.4 6.4 6.5 6.5 6.5 6.6 6.6 6.6
参考:http://gyoni.okoshi-yasu.com/trouble/water.html
kh1〜4°dH程度
(水道水:kh2〜3°dH程度)
あまり水草水槽では使用しませんが一応。
【反応物質】硬度物質(カルシウムイオンとマグネシウムイオン)の総量
上記の炭酸塩硬度(炭酸水素イオンに結びつくカルシウムイオンとマグネシウムイオン)に、炭酸水素イオン以外と結びついているカルシウムイオンとマグネシウムイオンをすべて足したものの総合計です。
この数値が高いと「硬水」、低いと「軟水」と呼ばれます。日本の水道水は「軟水」です。
水草によって、育ちやすい硬度が存在します。現状、流通している水草が好むのはph値が低い(弱酸性)の水となりますが、一般的には「高度が高い=ph値が高い」となるので、硬度が高いと、流通している水草にとっては好ましい環境ではありません。
よく、水槽レイアウトで岩や砂利が入っている水槽を見ると思いますが、岩や砂利を入れた場合、マグネシウムやカルシウムが溶けだし、硬度が上昇します。ソイルにはマグネシウムやカルシウムを吸着する能力がありますので、ソイルを使用していればある程度は吸着してくれます。アクアリウム用に販売されている岩(風山石、木化石、万天石など)であれば、硬度の上昇が許容範囲内であることが確認されていますので、岩組をする場合はアクアリウム用のものを購入してください。河原の岩などを拾ってきて水槽に入れられないのは、硬度の上昇が予測できないことが理由のひとつです。
ただし、ソイルは時間とともに吸着力が減少しますので数ヶ月たつと、硬度が徐々に上昇し始めますので注意してください。その場合は以下に上げる硬度を低下させる商品を使うか、リセットという選択になります。
1~3°dH程度
【反応物質】アンモニウムイオン
生体に有害な毒素です。硝化バクテリアの働きにより亜硝酸になります。硝化バクテリアに関して、詳しくは別記事にまとめてますのでそちらをご確認ください。
→『水槽を初めて立ち上げる前に最低限知っておいてほしい基礎知識』
かなり毒性が強く、アンモニアが蓄積すると生体は生きられません。
通常、立ち上げ初期に発生し、水槽立ち上げの目安となる数値ですので、水槽を立ち上げる時は特に注意して確認する必要があります。立ち上げ時以外で検出された場合は水換えを行ってください。
0mg/L
※アンモニアは検出されない環境が望ましいです。
【反応物質】亜硝酸イオン
アンモニア同様、生体に有害な毒素です。硝化バクテリアの働きにより硝酸になります。こちらも立ち上げ時に発生し、水槽立ち上げの目安となる数値です。立ち上げ時以外で検出された場合は水換えを行ってください。
0mg/L
※亜硝酸は検出されない環境が望ましいです。
【反応物質】硝酸イオン
バクテリアが行う、硝化の最後にできる物質です。
毒性はアンモニア、亜硝酸に比べ弱いですが、蓄積すると生体に影響を及ぼします。また、窒素分を多く含むため、多いとコケの発生原因となります。
主に立ち上げ時に硝酸が検出され始めたら立ち上げ終了の目安となります。
また、コケの原因となるものですので、硝酸の量を測定することで水換えのタイミングの目安にもなります。
0〜25mg/L
【反応物質】鉄分
二価鉄(酸素が結合していない状態)と三価鉄(酸素が結合している状態、つまり錆びた状態)があり、植物は二価鉄を養分にします。水草の発色に影響しており、鉄が豊富だと、ロタラワリッキーやロトンディフォリアなどのような、赤色系の水草の発色がよくなります。また、水草が白化してしまった場合、鉄の補給で緑色を取り戻すことも可能です。
二価鉄は自然発生しませんので、液肥や固形肥料での添加が必要になります。水草の発色が目安にもなりますので、そこまで日常的に計測する必要はありません。計測しなくても水草の状態を見て確認することが可能ですが、数値として計測することで自分の水槽内の適正な値が求められます。
0.25~1mg/L程度
※水槽内の水草により前後します。
【反応物質】リン酸
餌などに含まれるタンパク質をバクテリアが分解することにより発生します。リン酸には「リン」と「窒素」が含まれており、硝酸同様、コケの原因となります。一般的に、リン酸は水槽内で過剰供給気味であることが多いため、吸着剤を継続的に使用しても水槽内の栄養素が枯渇するといったことは起こりにくいようです。
水槽内では過剰になりがちな、「リン」と「窒素」を含むため、多すぎるとコケが繁殖してしまいます。
吸着剤や水換えにより薄めることが必要となりますので、そのタイミング見極めの目安となります。
1mg/L以下
【反応物質】塩素
水道水に殺菌目的で含まれています。プールの臭いの元です。塩素は生体(熱帯魚やシュリンプ)、特にバクテリアへのダメージが大きいため、塩素の抜き忘れには注意が必要です。一度バクテリアが死滅すると、死骸が浮遊し、水の濁りの原因となる上、再度バクテリアを繁殖させる必要が有るため、塩素抜きはしっかり行いましょう。塩素抜きの商品は各メーカーからでており、規定量入れて中和させてやれば問題は起こりません。
水道水の塩素が中和されているかを確認するためです。メーカーから発売されているカルキ抜き商品を規定量入れれば中和はされますので、そこまで神経質に計測する必要はありません。
【反応物質】酸素(O2)
生体や水草、バクテリアが呼吸の際に必要とします。(って、言わなくてもわかりますよね)
供給源は水面の揺れから自然に溶け込むか、水草が入っていれば照明点灯時には光合成により酸素を放出します。
水槽内の酸素が十分供給されているかの目安です。
水草水槽では植物の光合成により二酸化炭素から酸素を生産し、水中に溶けこませるので、照明点灯時に酸欠になる、というのはあまりありません。(あるとすれば二酸化炭素の添加量を上げすぎてしまった時とかですかね)
ただ、夜間は水草も呼吸によって二酸化炭素を吐き出しますので、水槽内の酸素が足りず、酸欠に陥る可能性もあります。また、水草アクアリウムでは「外部フィルター」を使用することが一般的ですので、構造上、空気と触れにくい外部フィルターは酸素を取り込むタイミングがありません。
酸欠に陥った場合、生体や水草だけでなく、水槽内のろ過を担当するバクテリアにもダメージを与えますので、特に夜間の酸欠には注意してください。通常、エアレーションをしていれば問題は起こらないかと思います。
【反応物質】酸素(CO2)
水草が光合成を行う際に必要とします。水草アクアリウムでは一般的に水草の光合成を促進させるためにCO2の強制添加を行います。添加方法について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
→『水草育成には必須!水槽内にCO2を添加させる方法まとめ』
水槽内の二酸化炭素量がが適切かの目安です。
を入っている水草の光合成量にもよってきますので、数値を元にCO2添加量決めるというよりは水槽内の水草やエビの状態を見ながら判断することが多いです。
通常、アクアリウムのCO2強制添加では「1秒1滴」という数値で二酸化炭素の添加量を示します。1秒1滴から初めて、1秒2滴程度まで様子を見ればだいたい判別可能かと思います。
CO2添加が多すぎると、水中内の生体は酸欠状態に陥りますので注意してください。
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