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前回の記事では水槽を立ち上げる前に知っておいてほしい知識を記載しました。
詳しく知りたい方は以下のURLから確認して下さい。
→『水槽を初めて立ち上げる前に最低限知っておいてほしい基礎知識

さて今回は、今回は、その知識を元に、具体的にどのような流れで水槽の立ち上げを行うかをSTEP別に見て行きたいと思います。

また、水槽の設置から熱帯魚・水草選び、水草の植え方、熱帯魚の入れ方など立ち上げに必要な知識と一連の流れを写真付きでまとめたページを制作しました。
写真で解説!初心者向けアクアリウム(水草・熱帯魚水槽)の始め方・立ち上げ方法

今回は、初めて水槽を立ち上げる方を対象とした記事にしています。
通常、2回目3回目の立ち上げの際には、すでに立ち上がった水槽からろ材や水など、いろいろ流用することができるのでここまで手間はかかりません。(はやければ即立ち上がります。)
もちろん、熱帯魚ショップや知り合いから流用できるものをもらってくればその分立ち上がりは早まります。

水槽を立ち上げるための基礎知識

前回の記事の記事からの引用です。

  • 水槽の「立ち上げ」とは水槽内で「生物ろ過」の仕組みを作ること
  • 「硝化」とはアンモニアを亜硝酸に、亜硝酸を硝酸に変えるバクテリア(好気性細菌)の働きのこと
  • 「生物ろ過」が行われているかどうかの判断指標として「硝化」が行われているかどうかを確認する
  • 硝化は好気性細菌が担当しているので水中には「酸素」を供給する必要がある
  • バクテリアは空気中をただよっていて、自然に水槽内に発生する(市販バクテリア剤もあり)

つまり水槽の立ち上げは、水槽内に「硝化」の仕組みができたかどうかで判断します。
もっと具体的に言うと、「アンモニアが亜硝酸塩に」、「亜硝酸塩が硝酸に」分解されているかどうかを測定用の試験キットを使用し判断します

まず、硝化のためには「アンモニア」が必要となりますのでそのアンモニアを追加する必要があります。

アンモニアを水槽内に発生させる方法

アンモニアを水槽内に発生させる方法にはおおまかに2通り方法があります。

  • パイロットフィッシュを入れる[←オススメ]
    アンモニア発生源として、水質の変化に強い魚を入れて、そのフンからアンモニアを発生させる方法です。
    こちらが一般的な方法です。
  • フィッシュレスサイクリング法
    こちらは生き物を使わない方法です。あさりやマグロの刺身、アンモニア水などを使ってアンモニアを水槽内に追加します。

パイロットフィッシュを入れる方法が一般的ですので、今回はそちらの方法での立ち上げを説明します。

フィッシュレスサイクリング法
フィッシュレスサイクリング法には以下の様なメリット・デメリットが有ります。

  • 魚を入れないため、水質の管理をそこまで神経質に行う必要がない。
  • 飼いたい魚を自由に決めたい
  • 魚を飼う前に始められる

ただし、以下の様なデメリットが起こる可能性があります。

  • アンモニア〜硝酸塩まで分解する「硝化」の仕組みはできたが、その他の物質を分解する生物ろ過が不十分
  • アンモニアの量の調整を間違えると、水が臭ってきて、水質環境が悪化するおそれがある

目に見えないので、あまりおもしろいものではないですし、何より管理にはコツがいるので、初心者のかたにはあまりおすすめできません。方法に関してはこちらのブログに詳しく書いてありますので参考URLを載せておきます。
参考:http://ameblo.jp/love-gsp0422/entry-11278829682.html

水槽立ち上げの流れ

  • 水槽のセッティングをし、塩素(カルキ)を抜いた水を入れる
  • パイロットフィッシュを入れる
  • エアレーションをして空気中のバクテリアと酸素を水中に取り込む
  • アンモニア濃度を測定し、高くなってくれば水量の3分の1程度水換え
  • 1週間程度でアンモニア濃度が下がり、代わりに亜硝酸が検出されるようになる
  • 亜硝酸濃度が高くなったら水量の3分の1程度水換え
  • 3週間〜1ヶ月程度で亜硝酸濃度が下がり、代わりに硝酸が検出されるようになる
  • 硝化サイクルの完成(仮)

用意する道具

  • 水槽セット一式(水槽、フィルター、ソイル、水草等含む)
  • アンモニア、亜硝酸、硝酸測定キット
  • 水換え道具(プロホース、バケツ)

水槽セット一式

水槽、外部フィルター、水槽台、水槽マット、照明、ソイル、水草などです。
以下を参考にしつつ、理想のレイアウトに合わせて用意してください。
→『【総まとめ】アクアリウムに必要な道具と各費用、ランニングコスト一覧
水槽一式揃った初心者セットなるものも販売されていますので、そちらを購入すると安上がりです。

アンモニア、亜硝酸、硝酸測定キット

液体タイプのものと、試験紙タイプのものが販売されています。
液体のほうが精度が高いので、できれば液体タイプが理想です。
ただ、液体タイプのほうが価格が高いです。

亜硝酸と硝酸の測定キットに関しては、アンモニアに比べ、毒性は落ちますので試験紙タイプのものでも十分です。

代表的な商品

【STEP1】水槽のセッティングと水入れ

セッティング方法や注意点など、詳しくはまた別の機会に説明しますのでここではさらっと。

水槽や水槽台、フィルターを設置し、カルキ抜きした水を入れてください。
カルキ抜きは

  • エーハイム フォーインワン
  • テトラ コントラコロライン

等の液体を適量入れればOKです。

【STEP2】パイロットフィッシュを入れる

パイロットフィッシュとはアンモニアを発生させるために水槽に最初に入れる生体のことです。
パイロットフィッシュに選ぶ生体は以下の条件が望ましいです。

  • 水質の変化に広く対応できる強い生体
  • 自分が今後も飼育する生体

立ち上げ当初は、水質が急激に変化するなど不安定になりがちです。
特にここを見ている方は、初めて立ち上げる方もいらっしゃると思いますので、不慣れな作業となりなおさらです。繊細な熱帯魚だと、少しの水質の変化で死んでしまいますので、ここでは強い種類である必要があります。
また、基本的にはパイロットフィッシュは立ち上げが終わった後もそのまま水槽で飼育を続けるので、自分が飼いたいと思える魚であるほうがいいです。

一般的には以下がパイロットフィッシュに向いているといわれています。

パイロットフィッシュ向きの魚の種類

  • アカヒレ
  • ネオンテトラ
  • カージナルテトラ
  • ゴールデンハニードワーフグラミー
  • ベタ

上記の中でも、コイ科であるアカヒレは強い生命力を持っていますのでパイロットフィッシュとしてはよく使われる種になります。また、テトラの代表種、ネオンテトラ、カージナルテトラも水質の変化に強く、どれも安価に購入可能です。その愛らしい姿と泳ぎ方から人気のゴールデンハニードワーフグラミーも比較的強い種類となります。
ベタは個体としては最強クラスの強さを誇りますが、姿形の主張が強く、小型の熱帯魚メインの水槽にする場合は、少し浮いてしまいます。。。

後々の飼育も考えてパイロットフィッシュを選んでください。

パイロットフィッシュの量

  • 60cm …10匹以下
  • 45cm …5匹以下
  • 30cm …3匹以下

上記はあくまでも目安です。ただ、多く入れ過ぎるとアンモニア濃度が極端に上がりますので、入れ過ぎには注意してください。後々追加で全然問題ありませんので、最初から多く入れることはリスクでしかありません。

パイロットフィッシュの餌の量

パイロットフィッシュにあたえる餌は1日一回、3分以内に食べきれる量程度としてください。
多く与えすぎると、餌が水を汚してしまい、予想以上に悪化させてしまいますので、餌はほどほどにしてください。。

【STEP3】エアレーションをして空気を取り込む(立ち上げ〜立ち上がるまで)

エアレーションの目的は2つで、「酸素を取り込むこと」「空気中からバクテリアを取り込むこと」です。

アンモニアの分解は、酸素が大好きな好気性細菌の役割ですので、繁殖させるには酸素が必要です。
水草を植えているなら、照明が付いているときは光合成により水中に酸素が溶けこまれている状態だと思うので、照明を消している時だけエアレーションでもOKですが基本的にはフルパワーでぶくぶくさせ続けたほうがいいかと思います。
基本的にはSTEP4以降もエアレーションを続けてください。

【STEP4】アンモニア濃度の測定と水換え(立ち上げ〜1週間程度)

水槽立ち上げ当初はアンモニアを分解するバクテリアが繁殖しておらず、アンモニアが増える一方です。アンモニアはとても強力な毒性を持っていますので、濃度が高い場合場合は水換えで対応します。

水換えのタイミング

1週間毎日1回、試験キットを使用し、アンモニア濃度(NH3/NH4)を測定します。

水槽内の総アンモニア量『0.25mg/l』が水換えのタイミング

水槽内の総アンモニア量が0.25mg/l以上になると、魚に悪影響を及ぼし始めますので、0.25mg/lを目安に水換えを行います。

アンモニアの種類

アンモニアと何度も言っていますが、実は水中のアンモニアにも種類があります。
覚えても仕方ありませんのでこれもさらっと。

  • 遊離アンモニア
    イオン化していない状態のアンモニア。毒性が非常に高く水槽内では未検出状態が望ましい。
  • アンモニウムイオン
    イオン化している状態のアンモニア。遊離アンモニアに比べて、毒性は低い。

通常、アクアリウム用の試験キットでは「遊離アンモニア」と「アンモニウムイオン」2つの合計である「総アンモニア量」の数値が分かります。そのため、この「総アンモニア量」を見て、水換えのタイミングを判断してください。

立ち上げ時に発生する白濁り

立ち上げ時には白く濁っていることが多いです。特に栄養系ソイル(ADAアマゾニア等)を使用している場合は必ずといっていいほど発生します。
原因としては

  • バクテリアの増殖
  • バクテリアの死骸が浮遊
  • フィルターで取りきれない細かいゴミ

等ですが、数日で落ち着きますので慌てないで大丈夫です。
立ち上げ時は水質が不安定になりがちですので、慌てず様子を見ましょう。

白濁の対処法は別の記事でまとめていますので、詳しくはこちらから。
→『誰もが通る道!水槽立ち上げ時に発生する水の白濁りの原因とその対処法。

【STEP5】亜硝酸の検出と水換え(立ち上げ〜1ヶ月程度)

立ち上げから1週間程度でアンモニア濃度ががくっと下がり、代わりに亜硝酸が検出され始めるタイミングがあります。このタイミングで「アンモニアを分解するバクテリア」が一定数繁殖した、といえます。
ここからは「亜硝酸を分解するバクテリア」の繁殖の時期です。

水換えのタイミング

2日に1回程度、試験キットを使用し、亜硝酸濃度(NO2)を測定します。

水槽内の亜硝酸濃度『0.5mg/L』が水換えのタイミング

水槽内の亜硝酸濃度が0.5mg/L以上になると、魚に悪影響を及ぼし始めますので、0.5mg/Lを目安に水換えを行います。

大体2-3日で一回程度です。

【STEP6】硝酸の検出と水換え(立ち上げ後1ヶ月程度〜)

ここまでくればほぼ立ち上げが完了します。亜硝酸濃度が下がり、硝酸が検出されるようになります。これは「亜硝酸を分解するバクテリア」の繁殖が十分なされ、硝化サイクルがある程度形になったということを意味します。

ある程度、というのは、本当の完成は数カ月先だからです。
ここでは最低限、熱帯魚が育成できる環境が整ったに過ぎず、まだまだ不安定な状況ですので、引き続き水質を注意してみていきましょう。

ただ、ここまでくればアンモニア濃度の上昇による死亡の可能性が格段に低くなっていますので、熱帯魚を追加することができます。熱帯魚はだいたい1リットル1匹までが理想と言われているので、あまり過密水槽にならないように熱帯魚の数には注意してください。

まとめ

  • 初心者のかたは「パイロットフィッシュ」を入れてアンモニアを水槽内に発生させる方法がおすすめ
  • アンモニア濃度は『0.25mg/L』を目安に水換えをする
  • 亜硝酸濃度は『0.5mg/L』を目安に水換えをする
  • 硝酸が検出されはじめたら、立ち上げの完了間近
  • 水質が不安定なため、水が濁ることがあるけど焦らない

お疲れ様でした!ここまでくれば後は楽しいアクアリウムライフが待っています!
理想のレイアウト目指してとことんやりこんでください!

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