水草入門の代表的な種類であるアヌビアス・ナナ。育成も容易なため、どんな本でも、初心者向きの水草として必ず紹介される水草です。今回はアヌビアス・ナナの特長や、流木・石に活着させる方法、増やす際の株分けの方法など、アヌビアス・ナナの育て方を写真付きで紹介していきます。
この記事の目次
育成難易度 | ★☆☆☆☆(超簡単) |
---|---|
殖やし方 | 株分け |
光量 | 60cm20W1灯以上 |
CO2 | 添加は有効。ただし添付なしでも育成可能 |
水温 | 22~30度 |
底床 | ソイル、砂、溶岩石 |
価格 | 1ポット:500円 |
アフリカで自生するのロゼット型(中央から葉を放射状に展開する)の水草で、流木や岩に根を回し、活着する性質を持つため、流木組みレイアウトによく使用されます。初心者向けの水草として人気の高い種類で、初心者向けの水草としては必ずと言っていいほど紹介される水草となります。水草を販売しているアクアリウムショップであれば、どこにでもおいているかと思います。(少なくとも僕は置いていないショップを見たことがありません)
アヌビアス・ナナは大きさ10cm程度で、葉の長さは4、5cm程度の緑色の楕円形の丸い葉をつける水草です。その他水草初心者向けとして有名なウィローモスやミクロソリウムと同じく陰性植物ですので、強い光量を必要とせず、後景草や流木の影になっているところにレイアウトしても問題なく育成可能です。とても丈夫な種類で、光量、CO2添加を必要とせず、幅広い水質に適用します。
底床がソイルでなくても、砂利、溶岩石など他の底床でも育成できるため、本格的な水草レイアウト水槽から、ちょっとアクセント程度に配置する生体メインの熱帯魚水槽でも使用されることが多いです。CO2添加は必要ありませんが、あったほうが成長スピードは早くなります。
レイアウトの使いドコロとしては、影でも育つため、流木や後景草の影になる場所への配置や、特徴的な葉の形を活かして、注目を集めたい場所へのアクセントとしての配置など、アイディア次第場所を選ばずレイアウトが出来ます。ソイルに埋める必要がありませんので、小さな石などに活着させて沈めておけば、気分によって自由に配置を変えることができるため小さな石や流木への活着がオススメです。また、成長が遅いためコケの被害に合いやすいのですが、小さい石に活着させておけば水槽から取り出し、木酢液などを直接塗ることができます。
また、アヌビアスと名がつくものには流通しているものだけでも数十種類あり、コレクション性が高いのも魅力的です。
初心者におすすめな理由として以下の点が挙げられます。
その他初心者向けの水草は以下の記事にまとめています。
また初心者向きの水草だけで構成された水槽レイアウトの始め方は以下の記事に写真付きで水槽設置から水草植栽までまとめています。
アヌビアス・ナナはとても容易に育てられる種類ですが、成長が遅いためコケの被害に合いやすいです。これはナナにかぎらず、成長の遅い水草によくみられます。ただ、他の水草と異なり、触ればわかるのですが、アヌビアス・ナナの葉はとても固いため、コケの予防、コケ落としは他の水草よりも容易です。
まず、コケの予防に「コケ取り生体」と呼ばれる、苔を食べてくれる生体を水槽内に多めに入れてください。通常の水草であれば、コケ取り生体を多めに入れてしまうと、そのコケ取り生体が水草の葉まで食べてしまうため(食害)、入れ過ぎると水草まで食べられて枯れてしまうのですが、アヌビアス・ナナであれば、葉が硬いため食害にあうことはありません。
オススメなコケ取り生体は糸状苔を食べてくれるヤマトヌマエビや、斑状藻を食べるオトシンクルス、オトシンネグロ、黒ひげゴケを食べるサイアーミーズフライングフォックスです。
水草のコケ対策として、薄めた酢や木酢液を直接塗るという方法があります。一般的な水草であれば、木酢液を塗るとコケだけでなくその水草にもダメージを与えるため使えない方法ですが、アヌビアスナナは葉が固く丈夫なため直接塗ってもナナ自身にダメージが残るということが少ないです。
もしアヌビアスナナを小さな石などに活着させている場合は、水槽から取り出し、薄めた木酢液を刷毛などでコケが生えている箇所に塗ってください。塗って30秒程度でナナから木酢液を洗い流し水槽内に戻せばそのうちコケが枯れていきます。枯れたコケはヤマトヌマエビやミナミヌマエビなどがエサとして食べてくれますので、放っておけばそのうち綺麗に消えてなくなります。
アヌビアス・ナナは農薬が付着している商品も流通しています。農薬は熱帯魚やエビにダメージを与えます。特に水質に敏感なヤマトヌマエビやビーシュリンプなど、水質に敏感な小型のエビは農薬が少しでも残留している水草を水槽内に入れると水槽内で暴れだし、死に至ります。残留農薬処理済みという商品もありますが、どれほどの農薬が残っているか不明ですので、できれば、可能であれば少し割高になりますが農薬を使用していないアヌビアス・ナナを購入してください。また、水槽に入れる前に「水草その前に」のような残留農薬を除去する製品を使用し、農薬の影響リスクを出来る限り下げるのもオススメです。
※水草その前にを使用したとしても100%農薬を除去できるわけではありませんのでご注意ください。
アヌビアスナナは基本的にとても丈夫で、環境の変化にも強いためあまりありませんが、ネットを探していると溶けてしまうことがあるようです。
原因は
などが考えられます。
アヌビアスナナはソイルに埋めても育成は可能ですが、調子を崩すことがありますので注意してください。
さて、では実際にアヌビアスナナの流木・岩への活着方法をお伝えしていこうと思います。
まず、活着させるものを用意してください。流木や岩に活着させるのが一般的です。ナナはミクロソリウムなどのシダ系の植物と異なり、ソイルに埋めても育成可能です。
ただ、初心者のかたの場合は自由に配置換え、取り出せるよう、小さな石や流木などに活着させておく方法がおすすめです。アヌビアスナナは成長が遅い分、苔の被害に合いやすいです。そのため、コケ対策のために木酢液などを塗ることがあるのですが、ソイルに埋めていたり、水槽に固定された流木に活着させていると取り出すことができないためその作業が行いにくくなります。また、アヌビアスナナを増やすために株分けを行う際にも、水槽外に取り出せないと作業が行いにくく、増やすのも一苦労だと思います。また気分によって配置場所を変えられるるのもメリットの一つです。
釣り糸のような糸や、ビニタイを用意してください。水草の活着には木綿糸(モスコットン)という1ヶ月程度で水に溶けてなくなる紐も使われるのですが、アヌビアスナナは成長が遅いため1ヶ月程度では完全に岩や流木に活着しません。活着前に糸がはずれるのを避けるためにも、木綿糸は使用せず、糸やビニタイを使用してください。
やってみればわかるのですが、ビニタイのほうが楽に固定することができます。釣り糸は葉がじゃまになり、不器用な僕のような人間だとイライラしちゃうと思います。また、糸の場合、きつく締め付けると茎に傷ができてしまいますので注意してください。
グリーンPETタイ(菊用・緑)カッター付
238円
水槽用に、水草に固定に、使い道いろいろの緑色PETタイです。原材料は非塩化ビニール材ですので燃焼した時、塩素系ガスを発生させる心配がありません。
その他有名な方法に「接着剤」を使用する方法があります。水に溶けない接着剤であればこちらの方法でも問題ありませんが、なにかしらの成分が溶け出す場合、水質に影響をあたえるおそれがありますのでそこは注意してください。
アヌビアスナナを購入すると、ほとんどのものがポットに入っていると思います。まずはこのポットを外していきます。
ポットの下の方を強く押すと比較的出しやすいと思います。ナナの葉をもって無理矢理引っ張ると葉がちぎれたり、傷がついてしまいますので、持つなら茎の部分をもってゆっくりと引き抜いてください。
ポットの中にはロックウールというポットで水草を育成するための綿のようなものが入っています。これは水槽内に入れると腐って水が汚れる原因になりますので、取り外します。
まずはおおまかに外していけば問題ありません。根っこが深く絡んでいると思いますが、次の工程で根を切り落としますので、外すときに根がちぎれても問題ありません。
根を切り取った後にロックウールを綺麗に外しますので、ここではロックウールをおおまかに外して根が見える状態になればOKです。
根の付け根が見える程度にロックウールが外せたら、次ははさみでアヌビアス・ナナの根を短く切り落とします。
アヌビアス・ナナに最初から生えている根はそのまま残していても流木や岩に活着しません。新しく生えてくる根が岩、流木に活着をしますのでここでは短く切り落としてください。
その後、残っている細かいロックウールを手やピンセットを使って綺麗に取り除いてください。
ロックウールの残骸を取り除くためにバケツに張った水でじゃぶじゃぶ洗っておきます。
アヌビアスナナは農薬を使用していることが多い水草です。基本的には「無農薬」のものを購入していただきたいのですが、農薬の付着が不明な場合は水槽に入れる前に農薬の除去を行います。
農薬除去として有名な商品に「水草その前に」というものがあります。これは水草に付着する害虫のたまごや残留農薬を除去する商品です。バケツの水に適量水草その前にを入れ、その水に水草を数分つけてください。その後綺麗に水道水で水草を洗い流します。水草その前に、を溶かした水は強アルカリ性の水です。それに対し、水草水槽で最適な水質は弱酸性となりますので、ここでアルカリ分をしっかり落としてください。ただし、水草その前にを使用したからといって100%すべての農薬を除去できるわけではありませんのでご注意ください。
今回はビニタイがちょうど切れていたので、糸を使用していますがビニタイのほうが楽でおすすめです。糸で巻くときには締め付け過ぎて茎を傷つけないように注意してください。
アヌビアス・ナナは育成する方向というものがありますので、石に活着させるときには、その方向に活着するスペースを設けてやると育った時に外の岩に活着するなどの問題が起こりません。
上記の写真で言うと左に向かって成長していきます。メインの茎からでる枝が伸びている方向、新芽が生えている方向で判断してください。
アヌビアス・ナナは影でも育ちますし、どこでも育成可能といえる水草です。ただ、アヌビアスナナの育成方向は意識して配置してください。アヌビアスナナは育成方向が決まっており、その方向に向かって成長していきます。上にむかって、手前に向かってなど、統一感を出したほうがのちのちきれいなレイアウトになります。
アヌビアスナナは成長スピードが遅い水草ですので、ウィローモスやロタラのようにトリミングに追われることはあまりありません。レイアウトに合わせて不要な葉を切り取るか、コケの生えた葉を切り取る、他の葉の影になって光がほとんど届かない葉は枯れていきますのでそれもトリミングしてしまっていいかと思います。トリミングの際には、葉の根元部分を切り落としてください。その際、茎に傷をつけないように注意してください。
また、大きめの葉を切り取っていくことで、新しく生えてくる小さい葉を蜜に茂らせることも可能です。
アヌビアスナナは「株分け」によって増やすことが可能です。ナナは茎がひとつのつながった茎から枝分かれして茎を伸ばし、そこに葉を展開していきます。その葉、茎、根の3セットがある状態で、メインの茎をハサミやカッターなどで切り分けてください。ただ適当に切り取ればいいわけではなく、以下の条件にあった切り取り方をしてください。
上記条件にあったように茎を切り分けてください。そして別々の石に活着させればそれぞれのアヌビアスナナが成長していきます。
ただ、成長が遅いためアヌビアスナナを増やす場合はそれなりに時間を要します。そのため、アヌビアス・ナナをメインとしたレイアウト水槽や、多くのアヌビアス・ナナが必要となるようなレイアウトの場合は、最初からある程度の数を揃えないと水景を完成させるまでに相当数の時間がかかり、その前に苔の対策に追われてしまうことになるので注意してください。
水草水槽で使用されるアヌビアスで代表的なものでも以下ような種類があります。サイズが小さいものから大きい物、また色違いなど多種多様にあります。
アヌビアス系の水草は基本的にどれも育成が容易な種類が多いです。
※リンククリックでチャームのアヌビアス詳細ページへ遷移します。詳しい説明はそちらを御覧ください。
最も有名なアヌビアスの代表種です。深緑のたまご型の葉をつけ、育成も非常に容易なため、水草入門種としても有名です。
アヌビアス・ナナの小型種です。アヌビアスと名がつく種類の中では最も小型の種類となります。見た目はアヌビアス・ナナをそのまま小さくした感じです。小型水槽だと、アヌビアス・ナナは大きすぎたり、奥行き感を出すために小型の葉が良い場合はこちらのプチを使用します。アヌビアスナナと同様に初心者が育成しやすい種類です。価格はナナよりもナナプチのほうが高くなります。
アヌビアス・ナナの色違い改良品種です。ナナが深緑色なのに対し、こちらは黄緑色の明るい葉を展開します。葉の幅が多少ナナより広くナナよりも多少小さいです。かなり明るめの発色となるため、ナナを配置する水槽とは印象が大幅に異なります。育成はナナ同様容易です。
このアヌビアス・バルテリーの改良品種がアヌビアス・ナナとなります。アヌビアスの大元ですね。ナナに比べ大きくなる種類で、最大30cm程度まで成長します。センタープランツとして、水槽の主役としての使用や、後景草として使用するレイアウトがオススメです。育成は容易ですが、大きくなるためレイアウトの際はそれを見越してレイアウトしてください。
アヌビアスナナよりも葉が細い形になっている改良品種です。
葉の形がハートマークをちょっと横に潰した形になっているアヌビアスです。
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